症例紹介

皮膚科

マラセチア性皮膚炎 (脂漏性皮膚炎)

🐶マラセチア皮膚炎とは

マラセチア皮膚炎は、犬の皮膚に常在している「マラセチア」という酵母菌(カビの一種)が異常に増えることで起こる皮膚の感染症です。健康な犬の皮膚にも少量存在していますが、何らかの原因で皮膚のバランスが崩れると急激に増殖し、かゆみやベタつき、独特な臭いを引き起こします。とくに耳やわきの下、指の間、内股、首回りなど、湿気がこもりやすい場所に多く発生します。


写真の紫色の粒々がマラセチアです。真ん中にくびれがあり、雪だるまのような形をしています



















マラセチア皮膚炎では、以下のような症状が見られます。
強いかゆみ(舐める・掻く・擦る)、皮膚の赤み・黒ずみ・ベタつき、フケや皮膚の厚み、色素沈着、油っぽい臭い(酸っぱい・カビのような匂い)
耳の中が赤くなり、茶色い耳垢が増える(外耳炎)
慢性化すると皮膚が硬く厚くなり、毛が抜けて黒ずんでしまうこともあります。

そんなマラセチア性の皮膚炎の症例をご紹介します。


Mちゃん シー・ズー 14歳の避妊済み 女の子

3年程前から皮膚が写真の状態に
皮膚にはかなりベタつきがあり、脱毛が全身に及んでいました。
散歩をしていても自分家の子だけ毛がなく、かわいそうとご相談がありました。


かゆみはCanine Pruritus Visual Analog Scale( PVAS) 7/10 とかなりつらい状態。
※Canine Pruritus Visual Analog Scal というのはワンちゃんの痒みを評価する国際的な基準です。
Hill et al.(2007)

皮膚検査(スタンプ検査/テープ検査)を行ったところ…

🔍 マラセチアが多数検出 (HPF >5-10)
➡️ マラセチア性皮膚炎と診断し、すぐに治療を開始しました。

🛁 お家ケアと病院ケアの両立
かなり強い痒み、肌の炎症があるためステロイドを使用して痒み、炎症のコントロール を行いました。
治療と同時に
✨ 週2回の薬用シャンプー
✨ 皮膚の保湿
をご自宅でお願いしました。

しかし、「家でのシャンプーが難しい」「頻度的に続けるのが大変」というご相談があり、
ご来院いただけるタイミングで 病院でのお預かりシャンプー を行うことになりました。

3ヶ月そのような治療を続けた結果


✨ 4ヶ月後にはここまで改善しました!
🟢 皮膚の赤みが大幅に軽減
🟢 全身にあった脱毛が改善し、うっすら毛が生え始めた
🟢 痒みは PVAS 2/10 まで改善
🟢 ステロイドの量も大幅に減量

わんちゃん自身も、かゆみストレスが減り本当にラクになりました✨
オーナー様のケアのご協力のおかげです🐾

急にここまで酷くなってしまった理由として、アトピー性皮膚炎が悪化し皮膚のバリアが低下、
年齢による免疫力低下などが考えられます。

ワンちゃんの皮膚病は一度ひどくなってしまうと皮膚をベストな状態に戻すには時間と根気が必要です。
日々のケア、少し皮膚の調子が悪いなど皮膚のトラブルはいつでも当院にご相談ください。

ご予約はこちらから→https://pet.apokul.jp/web/398/reservations/add