武信院長のぼちぼち更新ブログ

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夏の熱中症【熱射病(Heat stroke)と日射病(Sun stroke)】

 熱中症は、高熱により体温調節機能が障害される病気です。
 熱射病(Heat stroke)、熱疲労(Heat Exhaustion)、熱けいれん(heat cramps)、日射病(Sun stroke)などに分かれます。

 気温が高い場合、人も動物も血管を拡張させて皮膚温度を低下させます。
 血圧は下降、脈拍は増加、血流成分が増加します。
 さらに高温では汗で調節します。ただし動物は人より汗腺が発達していないため、開口呼吸(パンティング)によってその代わりをしています。
 このような高温への適応が限界を越えた場合、病的な状態<熱中症>になります。

 熱射病と日射病は命に関わります。熱痙攣と熱疲労はその軽度のものです。
 熱射病や日射病まで行くと医療機関での治療の必要があります。

原因:
  強い直射日光、高温多湿、 無風などの環境で車や室内に長期間放置される事。
特に心臓病、短頭種(シーズー、パグ等)、虚弱体質、 肥満、老齢の動物、 激しいトレーニング等は発症をしやすくします。

【熱射病(Heat stroke)】

 高温環境によって体温調節機能が障害され、高体温による細胞障害が全身に及んで
 多臓器不全の状態になる病気。
  1. 体温の過上昇・・・41℃以上
  2. 循環障害、頻脈、血圧は初期高く後低下、無尿
  3. 肝臓、腎臓、中枢神経の障害・・・元気消失、吐き気、下痢、昏睡、痙攣
  4. 皮膚は紅潮して赤く乾燥、発汗停止、紅潮
 
症状:ハアハアと浅い呼吸が続き、倒れてショック状態に陥る。
意識障害、脈拍促進、皮膚の発赤乾燥
意識障害は軽いものから、朦朧、昏睡までさまざま。
呼吸は頻数、かつ小さい。
 
診断:臨床症状から診断をし、治療と並行して必要な検査を行ないます。
血液検査では白血球増加、血小板減少などの変化と凝縮、電解質異常、アシドーシス、肝機能異常を認める事もあります。
重症例では血液凝固障害(DIC)から多臓器不全(MOF)へと移行します。
意識障害の場合は早急に処置が必要となります。
 
治療:まず体温を下げること。
換気の良い涼しい部屋で、絶えず直腸温を図りながら冷タオルや氷、アルコール綿でのマッサージ、冷水浴等で40度まで冷やすようにしましょう。
できるだけ早く病院に連絡をした方が良いでしょう。医療機関では静脈の確保と気道確保。ショック状態には輸液、ステロイドを併用することもあります。

【日射病(Sun stroke)】

 太陽光線により筋肉や皮膚の血流量が増加して、相対的に循環血液の不足、脱水が起き る病気。
  1. 体温は39度以上
  2. 目眩、吐き気、下痢
  3. 皮膚は蒼白でしっとりした冷や汗
  4. 一過性の意識障害
  5. 頻脈、血圧低下
 治療:冷所に連れて行き、冷水を飲ませる。首輪をゆるめる。動物病院では静脈確保、症状により熱射病と同じように輸液、気道確保、薬物療法を行う。

 いずれにしろ早めに動物病院に連絡すること。